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ドイツ文学専門

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文学研究とは何ぞや、という問いをつきつめれば、何かについて考え、それとの関連でテクストを読み、考えを反芻して誰かに伝えるために言葉にすることだと言えます。では何を考えるのかといえば、まずは自分にとって問題となることです。その問題とは、今自分が置かれている状況の中で、切実な疑問として浮かび上がったものかも知れませんし、全く抽象的な観念であるかも知れません。それがなぜ文学とリンクするのかといえば、たとえば小説の中で、ある具体的な状況が設定され、その中でひとりの人間がどんな風に悩み苦しんで、自ら判断し、選択してゆくのかというサンプルが示されているからです。それはその人の極めて私的で個別的な事例かもしれませんが、まさにその個別性によってリアリテートを勝ち得る一方で、我々は、そこから、自分自身の問いに向かう仕方のモデルを見出すからです。このように文学研究は、心理的リアリテートと抽象性との相互作用の中で営まれるものなのです。 ドイツ文学研究の中には、テクスト理論や語りの技法論ばかりではなく、哲学も精神分析も社会学の理論も入ってきます。ある概念を知ることによって、虚構テクストの読みが変化し、そのことが、自分にとっての現実の立ち現われ方をも変容させて、生きることが楽になったという人もいれば、自分が考えたことをどんな筋道で論じたら人に分かってもらえるのか、ぎりぎりまで格闘した経験が、修了後、企業に勤め始めて、企画書の作成やディスカッションの場で役立っていると報告してくれた人もいます。文学という精神的価値を、理系の人にも分かってもらいたいといって、理系の企業を選んだ人もいます。もちろん、留学して母語の外へ出て、言葉を他者へと届かせ、同時に、他者の言葉を聞き届けるために研鑽する院生もいます。このように文学研究は、現実を読み解き、考え、表現し、伝えるためのトレーニングでもあるのです。

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