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21世紀COEプログラム

拠点リーダー 佐藤彰一(西洋史学)

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統合テクスト科学の構築

文部科学省は平成14年度に大学間の競争を促進する目的で、「21世紀COE」プログラムを開始し、初年度に人文科学部門を含む五つの部門で審査が行われ、5年間の特別予算の配分をともなう採択が決定された。COEとは center of excellence の略語で、翻訳すれば「卓越した研究拠点」ほどの意味である。わが文学研究科は「統合テクスト科学の構築」と題するプロジェクト計画を策定し、見事に成功した。

人間が文明を創造するにあたって、その手段でもあれば目的ともなった人間の本源的な行為である他者との意思疎通には、様々な形式がありうる。私どものプロジェクトの目的は、意思伝達行為の所産をすべて「テクスト」と捉え、伝達欲求と、それが特定の形式の「テクスト」として実現されることの間の関係を、原理的に解明することにある。一定の情報内容があり、それを効果的に他者に伝えることにより、他者を動かし、社会を形成し、あるいは揺り動かし、こうして世界を構築してゆくそのプロセスの中で、言語は、図像は、文字は、身振りは、コミュニケーション手段としてなぜ選択され、またどのように機能したのか。文明とは絶えず変化し、組み換えの過程にある一つの「意味システム」であり、「統合テクスト科学」の目的は、こうした意味システムの構造とコミュニケーション形態のあいだに想定される一般原理を解き明かすことである。

歴史、文学、思想、人類学、美術史、言語の6部門から構成されているプロジェクト・チームは、文学研究科の教授、准教授、助教・助手だけでなく、ポスト・ドクトラルの研究員も加わって編成されている。大学内だけでなく名古屋駅近くの国際センタービルの15階に学外オフィスを構え、研究員の活動と成果の社会発信の拠点として活用するとともに、国際研究集会を03年2月「聖教記録の東と西」、03年6月「言語テキストの創造と活用」、03年11月「文学テクストの生成」、04年9月「歴史テクストの生成--テクスト/コンテクスト」、そして05年1月「宗教美術におけるイメージとテクスト」、05年10月「多重伝達形態論」、05年12月「インド哲学における伝統と創造の相克」とそれぞれ題して、フランス、イギリス、オランダ、フィンランド、オーストラリア、カナダ、マレーシア、スイス、アメリカ合衆国の国々から第一線の学者を招聘して実施した。国際的にも脳の機構の解明から、言語を経て、文明に架橋する研究の道筋に大きな光明が見え始めてきた。人文科学は真に学際的な課題を見出し、いま沸騰のただ中にある。

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